忍者ブログ
キャプテン翼二次創作ファンサイト CAPTAIN TSUBASA FANFIC WEBSITE
[1]  [2]  [3]  [4]  [5]  [6



「オレ、小学の修学旅行って行ってないんだ」
 テレビ画面で観光地の小学生の集団を見ながら、翼が少々不本意そうな声を上げた。
「6年の夏に南葛に転校しただろ。前の学校は修学旅行は2学期の予定だったんだ。で、南葛に来てみたら1学期の初めに済んじゃっててさ、両方とも逃したってわけ」
「そうかよ」
 日向が煩わしそうにうなる。
「それを言うなら俺だって行ってないぜ。理由はまるで違うがな」
 翼ははっと目を見開いて日向の顔を見たが、それ以上は触れなかった。代わりに、さっきからしがみついていた首にさらにに力を入れる。
「おい、いい加減離せって」
「やだ」
 だが翼は動じない。
「だってあったかいし」
「俺を暖房器具にするな!」
「南半球から来たばっかだよ? この寒さ耐えられないよ」
 昔の修学旅行への不満が寒さへの不平にすり替わっている。
 石崎が当時のことを一応説明した。
「南葛はサッカーの大会とかイベントが多いから夏は行事は飛ばすんだ。春のうちに済ませて。鎌倉だったっけな」
「ふーん、俺たちも鎌倉だったぞ。あんまり盛り上がってなかったけど。サッカーが優先だったからな」
 高杉が修哲の補足をして話題を別方向に向けようとする。
「俺じゃなく次藤のとこにでも行け」
「えー」
 しかし翼はそう簡単に折れない。ちなみにこのチームで体温の高さでは日向か次藤かということになっている。あいにくどちらも積極的にしがみつける相手ではなかったが。
「ワシは吉野ケ里遺跡たい。周りばなんものうてなあ、広いばかりで。遊ぶ場所とか」
 それは無理もないと皆心の中で想像する。
「その点関西は修学旅行には困らないんじゃないの? 京都とか」
「京都て、大阪からは30分で着いてまうわ。遠足にもならん。行ったんはお伊勢はんや」
「おおー、修学旅行っぽいな」
 ちなみに30分というのは在来線でのことで、新幹線なら残像しか残らない。地元の人は移動にはカウントしないことになっている。
「いやいや、お伊勢はんより帰りしに寄った鈴鹿サーキットのほうが受けてたけどな」
 小学生ならそんなもんだ。
 そこで、双子が話に加わった。
「俺たちも旅行じゃなくスキー合宿だったな。個人で何度か行ってたとこだったからそんなに目新しさはなかったなあ」
「むしろ牧場とか寄ったのが新鮮だったかな」
 こちらは小学生らしさが戻ったようだ。
「お前ら他県まで行けていいなあ。俺らは道内で終わりだもんな、行くとしても。せいぜい北方四島とか」
 ブッと噴出した者は責められない。知床から国後島が見えただけだとのんびり言い訳していたが。
「キミだと普通の修学旅行では退屈かな、日本中周ってるだろうから」
「悪いけどボクも修学旅行は行ってないから」
「おい、温度下げるのやめろ、そこ!」
 なんと、こちらの片隅で二人が背中合わせにぴたりと身を寄せて会話しているのだ。
「僕は別に寒いのなんて平気だから、そんなにくっつかないで!」
「僕は平気じゃないんだ」
 自分は入院中だったという三杉に岬は冷たい目を向ける。
「いっそ海外かな、キミなら」
「はいはい、どうせならシルクロードとかね。サマルカンドあたり」
 どこまでジョークなのか疑わしいのが恐ろしい。
「にしてもいつまで続くの、アレ」
 二人の視線は部屋の向こう側のイチャイチャに鋭く向けられている。
「まったくね。しかし翼くんの意志だけに口を出すわけにもいかないし」
「全くだよ、これが逆だったら口も手も出せるのに」
 いや、それは。
「あれ? そういや東邦の管理責任者はどうした?」
 関わりたくない、というより言っても無駄ということを知っている彼らはとっくに就寝していたのである。
 なお、来年のユースのアジア大会はウズベキスタンの予定なので、彼ら一同は労せずしてシルクロードの先へ飛べることになっていたが。
PR
HOME  → NEXT
カレンダー
03 2025/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30
プロフィール
HN:
wani
性別:
非公開
P R
Copyright (C) 2025 わにずくるう倉庫 All Rights Reserved.

Photo by (c)Tomo.Yun   TemplateDesign by kaie
忍者ブログ [PR]