例年のことであるか、4月と9月には日向の機嫌は最悪となる。
身体測定があるからだ。
「なんでえ、なんでえ、若島津なんか」
小学生の頃は日向より低かった身長は中学生になったあたりに逆転し、その差はじりじりと大きくなり続けている。
「少しは遠慮ってもんをしろ!」
そうは言っても、自分でどうにかできるものではない。
「でもオレ、キーパーですしでかくなるのはいいこってすよ」
「うるせえ!」
日向は睨み上げて怒鳴った。
「そんなにでかいのがいいなら、とっととヘフナーにでもヘルナンデスにでもミューラーにでもゴンザレスにでもなっちまえ!」
「はあ…」
しかし若島津はたじろぐ様子も見せず、不思議そうな顔をしただけだった。
「ほんとにいいんですか、なっちまっても?」
「う」
日向の動きが止まる。
「うわーっ」
「?」
若島津には見えていなかった。
その背後にずらりと立つ巨大な生き霊が数人分。
一瞬にして廊下を走り去る日向。
日本には言霊というものがあることは、くれぐれも忘れてはならない。。
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