忍者ブログ
キャプテン翼二次創作ファンサイト CAPTAIN TSUBASA FANFIC WEBSITE
[36]  [37]  [38]  [39]  [40]  [41]  [42]  [43]  [44]  [45]  [46


「アホンダラー!」
 早田の叫びだ。
「すぐ戻らんかい。いてまうぞ!」
「ああ、ゴメンゴメン」
 などとやっている目の前の守備陣を見ながらつぶやく。
「早田は口が悪いな」
「大阪弁だから割増で迫力あるしな」
「まああいつは通常運転だろ」
「けど人によっては試合中だと人が変わることってないか?」
「ああ、あるある…って、あるか?」
 控え選手たちは暇だった。
「たとえば翼がすごい後ろ向きだったり」
(ダメだ、やっぱり俺なんかじゃダメなんだ。全部俺のせいなんだ)
 ないこともないような。南葛の証言だからそうなんだろう。
「松山がやたら無責任だったり」
(ああ、そっちから来たかー、ならしゃあねえわ。今さら行ってもな。いい、いい。ほっぽっとけ)
 もっと粘れ。
「森崎がすっごく俺様だったり」
(フッ、この程度で俺を抜けると思ったか。もっと気合い入れて打ってこい!)
 それだったらいいのにね。若林が憑依したか。
「三杉が完全に脳筋だったり」
(トップはもっとこう根性でガーッと行くんだ。中盤もチョロチョローっと行ってからいい具合にシュッと!)
 いやそれは困る。
「若島津が饒舌だったり」
(いやあ、今のは正面突破じゃなく左に開いたほうがよかったな。そういえば1年前、俺が完全に抑えた試合があって、あの時使った技は…)
 うざい。スネオか。
「次籐が繊細だったり」
(それだと威力が足りんタイ。飛ぶ角度は68度がよかと。…ああ、あったらか、まだ60度タイ)
 それは繊細なのか?
「日向がフェミニンだったり」
(じいや、こんな所に虫がいましてよ。これではシュートが打てませんわ。かわいそうですもの)
 激しく違う。じいやって誰だ?
 と、背後に立つ人影。彼らが気づくと同時に大声が炸裂する。
「こらーっ、おまえら暇なら次の紅白戦までランニングでもしてろ!」
「ひっ」
 もちろん、それは腕まくりしたフェミニンなストライカーだった。
「まったく、ろくでもねえヤツらだ。まさに小人閑居為不善、だな」
「日向、きみ…」
 同じく給水タイムでミニゲームを中断していた三杉が振り返る。
「意外と引き出しを持ってるんだね」
「おう、当然だ。勝つためなら孫子の兵法でも何でもやるさ」
 のしのしと立ち去る。
 フェミニンは困るが孫子もどうなんだ?と思いつつ、三杉はそれを追ってピッチに向かった。


                                 END
PR
PREV ←  HOME  → NEXT
カレンダー
11 2024/12 01
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31
プロフィール
HN:
wani
性別:
非公開
P R
Copyright (C) 2024 わにずくるう倉庫 All Rights Reserved.

Photo by (c)Tomo.Yun   TemplateDesign by kaie
忍者ブログ [PR]